ドームには、2万人ほどのオーディエンスが集結しました。
さすが、デビューして40周年を超えるだけあって、
年季の入ったファンの方が多数いらっしゃいました。
男女比率は、9:1くらいでしょうか。圧倒的に女性です。
ドームは午後1時に開場し、コンサートは3時よりスタート。
真ん中あたりで30分ほどの休憩をはさんで、9時半くらいまで。
なんと、公演時間が6時間半にも及ぶ長いステージでした。
ところで「祭り」と言うからには、なにかド派手な仕掛けがあるように思いますよね。たとえば、宙吊りで空を飛ぶとか、レーザービームが飛び交うとか、ダンサーが大挙出演するとか、豪華ゲストが登場するとか、風船が飛ぶとか、花火が打ち上げられるとか(今回はドームだからこれは無理だけど)。
しかし、ジュリー祭りは、演奏を聴かす・歌を聴かすといった、
至ってシンプルな内容でした。ジュリーは黙々と歌い続けました。
もちろん、多少のトークはありましたが。
それと、スタンドの左右の2階スタンドに陣取っていた数百名の方たちが、
幾つかの曲でバックコーラス(合唱)を披露していました。
(合唱サークル等の方たちを招待したのでしょう。)
衣装も、アンコールを含めて3回程度しか着替えませんでした。もっとも、白や赤の羽を頭に被って登場したり、スーツの衣装を脱いでいくと、ちょっと雰囲気が変わったり、といった演出はありました。
これって、テレビでの往年のジュリーの姿が印象に残っている方にとっては、もしかしたら、違和感があるかもしれませんよね。でもこれが、彼のコンサートのスタイルのようです。過去2回行ったコンサートも、歌が中心の演出でした。
ジュリーが歌った曲は、ぜんぶで80曲にも及びました。
それも、メドレーのように1コーラスだけ歌って次の曲・・・ではなくて、
ほぼ100%、フルコーラスで熱唱。
演奏曲目は、ここ数年間にリリースされた楽曲と往年のヒット曲とが、程よくミックスされていました。ここで声を大にして言いたい事は、彼は現役のシンガーでありクリエイターである、と言う事です。
ジュリーには、タイガース時代から1980年代初頭にかけて、膨大なヒット曲があります。そんなにファンで無い方でも、ご存知の楽曲が多数あるかと思います。うっかり忘れてしまいそうになりますが、レコード大賞受賞歌手でもあります。
こういった歌手の場合、過去の資産(遺産)に頼るといいましょうか、往年のヒット曲をメインに携えてコンサートツアーをしたり、「青春の歌謡曲」といった感じの、いわゆる懐メロ番組に出演する人が多いかと思います。
しかしジュリーの姿勢は「懐メロ歌手を全面拒否!」です。
ヒット曲は、ファンの方たちと自分自身にとっての大切な「共有財産:宝物」である事を認識しつつ、常に新しい創作に励んでいます。大手レコード会社&芸能事務所から離脱し、個人事務所を設立し、そして、インディペンデント(自主)で、自由にCDやDVD作品をリリースしています。CDアルバムについては、毎年、セルフプロデュースによる新作を発表しています。男気ある沢田研二さん
常に前を向いて、個人の力で音楽活動を続けているジュリーは、
偉大なる日本歌謡歌手であり、そして、ロッカーなのです。
大手レコード会社等のバックアップ・サポート無しで活動を続ける姿勢はエライと思うし、大変な事だと思います。
最近の映像をたまにテレビなどで見かけると、随分とぽっちゃりしてきて、「あらまあメタボかしらん」と心配しておりましたが、昨日見た姿は、そこそこスリム化に成功していました。
ボーカルはパワーありますね〜。若々しくエネルギッシュで、伸びがあって艶っぽい声でした。個人的に彼の声は「アンニュイ」な雰囲気がするのですが、その魅力も健在でした。
ジュリーの凄いところは、数十年前の楽曲でもキー(声の高さ)を変えないで歌うところです。通常、年齢がいくと声域が狭くなり、特に高音域が厳しくなってくるので、リリース当時よりもキーを下げて歌う人が結構いるのですが、彼は、まったく同じキーで歌っているようです。若干、高音部が厳しい曲も聴かれましたが、「6時間半で80曲」という喉への負担のことを考えると、それは仕方が無いでしょう。
憲法九条が見え隠れする「我が窮状」や、
タイガースの同志、瞳みのるさんへ思いを馳せた「Long Good-by」などは、
その歌の背景を語りたくなるんじゃないかなあ、などと私は思うのですが、
楽曲についてのエピソードは語らず、メッセージは歌で伝える。
さらっと演奏するあたりが沢田研二さんの真骨頂です。
新しく創った曲をみんなに聴かせたいジュリーですが、
ヒット曲になると、やはり盛り上がりますね。
「TOKIO」でパラシュートを背負ったり
「勝手にしやがれ」で帽子を投げ飛ばしたり
・・・など、その当時のコスチュームやパフォーマンスをやれば、
いっそう盛り上がるのでしょうが、「元祖ヴィジュアル系」は封印。
前述の通り衣装はシンプルでした。メークもナチュラル。
唯一、「カサブランカダンディ」の時に、
ミネラルウォーターの水を口に含んで上向きに霧吹きしてくれました。
サービスでしょうね。
ちなみに個人的には「時のすぎゆくままに」、
「コバルトの季節の中で」、「ストリッパー」
といった楽曲が聴けて楽しかったです。
さきほど「ロッカーだ」と書きましたが、ザ・タイガースとしてバンドデビューを果たして以来、バンド編成による音楽活動にジュリーはこだわり続けています。日本のソロアーティストにおいて、専属のバックバンドを率いてのコンサートツアーや、テレビ番組出演を行った先駆者的な存在です。
歌謡ロックの先駆にして頂点。
ジュリー祭りにおけるバンドは、ギター×2、キーボード、ドラムの4人体制。ライブ中に、何度もバンドメンバーを紹介していました。ここ数年来の固定メンバーです。私が注目したのは以下の2名。
ギターのひとりである下山淳さんは、かつて「ルースターズ」という、私の好きだったロックバンドに在籍していました。はじめてジュリーのコンサートへ行った時、「あ、こんなところに下山さんが!」とびっくりしたものです。
ドラムは紅一点、グレースさんという女性です。軽快でありながら重たいビートを叩くドラマーです。まさにバンドの屋台骨を背負っています。コーラスもなかなかなものでした。
コンサートでのバンドアンサンブルは、長年一緒に活動しているだけあって、まとまりが素晴らしかったです。ただ今回のバンド、ベースレスでした。ベース奏者がいなかったという訳です。キーボード(シンセサイザー)でベース音を鳴らしていたようですが、生のベース・プレーヤーがいると、もっと演奏にバリエーションやダイナミズムが生まれたと思います。
バンド好きなジュリー。
若い頃はやんちゃでぶっきらぼうだったジュリー。
来年2月には、日本ロック界の重鎮、内田裕也さんと
ジョイントコンサートを敢行するジュリー。
私は、ジュリーは疾走するロッカーだと思っています。
藤山直美さんと人情芝居もするけど。
みごとに80曲を歌いきったジュリー。
長く歌い続けて来れた事に関する感謝の気持を述べた時、
感無量なのか目が涙で潤んでいました。
還暦だけど、
ローリングストーンズのミック・ジャガーは65歳。
元ビートルズのポール・マッカートニーは66歳。
まだまだ・・・です。
ステージは、センターのバックスクリーン側に設置され、ステージ前の客席を分け入るように、数十メートルの花道が延びていました。私は、三塁側の2階席でやや遠かったのですが、大きなスクリーンが設置されていましたので、ジュリーはよく見えました。
途中の休憩時間を挟んで2部構成。
1部は緊張のためか、強張ったような疲れたような表情でしたが、
2部に入ると、慣れてきたのか、俄然表情が活き活きして見えました。
身体もよく動いていました。トークの調子も上向きになってきました。
80曲もパフォーマンスを鑑賞すると、まさにジュリー漬け。
おなかいっぱいになりました。
ジュリーは、80曲もほぼぶっ通しで歌うのは初めての試みだったそうです。そして、私にとっても、ひとりのアーティストの歌を80曲もほぼぶっ通しで聴くのは初めての体験でした。
サンキュー、ジュリー





